山梨肺癌研究会会誌 第20巻1号 031-035(2007)

進行非小細胞肺癌に対するCisplatin+TS-1併用療法による治療経験

金澤正樹 佐藤亮太 山口 弘 西川圭一 久木山清貴

要旨:当科における進行非小細胞肺癌に対するcisplatin(CDDP)+TS-1併用療法による治療経験について報告する。<患者背景>期間は2005年12月〜2006年10月、症例数は10例であった。年齢は42〜69歳(平均59.4歳)、男性7例、女性3例、臨床病期はVA(1例)VB(2例)、W期(7例)、Performance status (PS)は0(4例)、1(5例)、2(1例)であった。組織型は腺癌(7例)、大細胞癌(2例)、扁平上皮癌(1例)であった。初回化学療法例が9例であった。
<投与方法> TS-1はDay1〜21まで連日経口投与を行い、Day22〜35は休薬とした。投与量は体表面積にあわせて決定した(体表面積1.25u未満は80mg分2、1.25u以上1.5u未満は100mg分2、1.5u以上は120mg分2)。CDDPはDay8に60mg/uを点滴静注した。以上を35日間隔で原則として2コース以上繰り返した。
<結果> 抗腫瘍効果は奏効率33.3%(3例/9例)であり、奏効例はいずれも女性でPS 0、腺癌の症例であった。有害事象(Grade2以上)としてはGrade3の消化管出血1例と食欲不振を1例に認め、Grade2の食欲不振2例、嘔吐2例、Grade2の水疱様皮疹を1例認めた。骨髄抑制についてはGrade2の貧血を1例認めた。全体を通し重篤な有害事象は認めなかった。CDDP+TS-1併用療法後に放射線療法を追加した症例は2例あった。
<結語> CDDP+TS-1併用療法は進行非小細胞肺癌における化学療法の一選択肢として、有望なプロトコールと考えられた。CDDPの投与法と放射線療法併用については、さらなく検討が必要と思われた。

キーワード: シスプラチン、 ティーエスワン、 非小細胞肺癌



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